世界の日常は一変した-。日々の生活や企業の活動は「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる新たな社会規範の制約を受け、大きな戸惑いを感じている。新たな世界の中で再び輝くため、企業に求められるのは、自らの持続可能な未来像を描く意志と、そこへ向かって歩み続ける実行力だ。
2021/7/27付け 日刊工業新聞 西日本面
井上ヒーター(兵庫県西宮市、井上雅晴社長)は、フィンチューブ式熱交換器を手がける。化学プラント、製鉄、製紙業界など加熱・冷却プロセスが必要な現場に幅広く導入する。顧客の要望に合わせたオーダーメードで信頼を積み重ねてきた。電気自動車(EV)市場の拡大を受け、顧客の現場で熱交換器の増設ニーズが高まる中、生産体制を強化する。
フィンチューブ式熱交換器は、複数のフィン(放熱板)にチューブを貫通させた構造の「プレートフィン」がコアとなる。チューブ内に液媒体を流すことで、ガス体を熱交換する仕組み。シェル&チューブ式と比べ、高い性能を維持したまま小型化できるのがメリットだ。井上裕邦営業部次長は「コンパクト化できるかどうかで、提案に差が出る」と自社の強みを分析する。
このほど本社工場では「全自動プレートフィン圧入機」を1台増設。今秋にも2台体制で稼働させ、生産能力を倍増する狙い。顧客が手がける製品が時代とともに変化すると、現場の熱交換器の性能要求も変わる。井上社長は「よりシビアになる要求に対応した製品づくりを心がけたい」と語る。2025年11月期をめどに売上高を、現状比3割増の6億円規模に高める計画だ。(神戸)
井上社長の趣味はカメラ。「芦屋写真協会」(兵庫県芦屋市)の役員を務めるほどの腕前だ。同協会は、戦前の前衛的な写真芸術の先駆けとなった芦屋カメラクラブの伝統を引き継ぐ。現在、欧州の写真協会と連携した写真展を開催するなど、精力的に活動する。本社から数分歩くと、西日本最大級のヨットハーバーである「新西宮ヨットハーバー」に出る。ヨットを横目に、春は桜並木、夏は花火大会と、写真の題材には事欠かないようだ。
企業名 | 井上ヒーター株式会社 | |
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代表者 | 代表取締役 井上雅晴 | |
住所 | 兵庫県西宮市西宮浜4丁目1番43号 | |
電話 | 0798-37-0501 | |
URL | http://www.ihc-japan.co.jp/ | |
業種 | 業務用熱交換器の製造・販売 | |
主な製品 | フィンチューブ式熱交換器、熱風発生装置、冷暖房・空気調和装置・排熱回収用エコノマイザなど |