世界の日常は一変した-。日々の生活や企業の活動は「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる新たな社会規範の制約を受け、大きな戸惑いを感じている。新たな世界の中で再び輝くため、企業に求められるのは、自らの持続可能な未来像を描く意志と、そこへ向かって歩み続ける実行力だ。
2021/8/2付け 日刊工業新聞 西日本面
「1―2年内をめどに新しい放電加工機を導入して金型の加工精度を高め、そのノウハウを部品加工に生かす」。井上精密(大阪府豊中市)の井上潤一郎社長は主力の自動車向けプレス金型の加工技術を生かし、金属部品加工事業の拡大を狙っている。10年後をめどに金属部品などの売上高比率を現状の約1割から4割に引き上げ、売上高は約2・5倍の1億円とするのが目標。工作機械などの設備稼働率を高めて利益率の向上も目指す。
新しいワイヤカット放電加工機を導入することで、金型の高精度化・短納期化が可能になる。狙うのは需要増が見込まれる電気自動車(EV)の給配電部品であるバスバー向け金型の受注だ。さらに井上社長は、高精度金型の製作を手がけることで「マシニングセンターなどの工作機械の精度を引き出すノウハウを蓄積して、金属部品の加工に生かす」と意気込む。
部品加工では、こちらも需要が旺盛な半導体向け部品などが狙い。新たな顧客獲得のため、展示会などの営業機会を増やし、自社の加工精度をアピールする。部品加工を増やすことで、小規模の金型メーカーで課題となる設備稼働率の向上につなげ、収益体質の強化を図る考えだ。
井上精密が工場を構える豊中市南西部は、名神高速道路など周囲の交通網が整備され、利便性が高いことから、製造業を中心とした事業所が多く集まっている。モノづくりに特化し、一見すると、食事処が少なそうな地域だが、井上社長によると「探せば色々ある」という。社長のおすすめは、同社から車で10分程の場所に位置するラーメン屋「鉄板中華・担々麺 究Kiwa」。「黒胡麻坦々麺は山椒の程良い痺れが最高」で、その味は無類だとか。
企業名 | 井上精密有限会社 | |
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代表者 | 代表取締役 井上潤一郎 | |
住所 | 豊中市原田南2丁目9番9号 | |
電話 | 06-6868-3230 | |
URL | ||
業種 | 製造業 | |
主な製品 | プレス金型設計・製作、3Dモデリング、ワイヤカット、マシニング加工、放電タップ |