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世界の日常は一変した-。日々の生活や企業の活動は「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる新たな社会規範の制約を受け、大きな戸惑いを感じている。新たな世界の中で再び輝くため、企業に求められるのは、自らの持続可能な未来像を描く意志と、そこへ向かって歩み続ける実行力だ。

大伸精研所

2021/9/15付け 日刊工業新聞 西日本面

<鋼板用スリッターナイフ>

大伸精研所のスリッターナイフを製造する新工場(大阪市淀川区)

 大伸精研所(大阪市淀川区、野上徹社長)は1971年の創業時から、鋼板用スリッターナイフを主力に事業を展開する。スリッターナイフはロール状のシートを任意の幅にカットする「スリット加工」で使用する刃物。刃物メーカーのOEM(相手先ブランド)生産品だけでなく、10年後にはエンドユーザーへの直接販売を売上高の約60%に高めたい考えだ。

 同社は創業時、刃物メーカーのOEM品のみを手がけていた。刃物メーカーの倒産などをきっかけにエンドユーザーから直接注文が来るようになり、現在は売上高の20―30%にまで拡大した。野上社長は「下請け業は大事だが、注文を待つだけの状況も厳しい」とエンドユーザーへの直販増を目指す背景を説明する。

 8月中旬には半径2キロメートルに点在していた三つの生産拠点を集約し、新工場を稼働したばかり。野上社長は「まだ社員も慣れていない様子だが、現在の人員のままで生産効率は15―20%上げたい」と期待する。

 野上社長は新工場によって「点在していた社員の団結力が出ることを期待している。今のところ良い雰囲気だ」と話す。新工場を事業拡大の弾みにしていく考えだ。


企業の横顔

代表取締役社長 野上 徹 氏


大伸精研所のある大阪市淀川区と、同区と隣接する西淀川区は刃物に関連する企業が多い。刃物の市場はニッチで、歴史背景が似通っているためというのが、野上社長の見立てだ。
野上社長は大伸精研所に入社し、約20年、製造現場を担当。この経験から顧客と技術的な話ができることの重要性を強く意識している。そのため「技術的な打ち合わせができる営業社員を育てていきたい」と考えているという。

企業名株式会社大伸精研所
代表者代表取締役社長 野上 徹
住所大阪市淀川区三津屋南3-10-7
電話06-6308-1455
URLhttp://www.d-seiken.co.jp/
業種金属加工業
主な製品スリッターナイフ、各種工業用刃物