世界の日常は一変した-。日々の生活や企業の活動は「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる新たな社会規範の制約を受け、大きな戸惑いを感じている。新たな世界の中で再び輝くため、企業に求められるのは、自らの持続可能な未来像を描く意志と、そこへ向かって歩み続ける実行力だ。
2021/9/27付け 日刊工業新聞 西日本面
リベラ商会(兵庫県尼崎市、太田博之社長)はべっ甲製品の企画製造を手がける。べっ甲細工で有名な長崎県に工場を持ち、「古くさくて高価なイメージのある」(太田社長)べっ甲を伝統工芸品として広く知ってもらいたいと販路を拡大。業界で初めてテレビ通販に着手したほか、呉服業界など業種を超えたコラボレーションにも挑戦する。太田社長は「異業種との対話で新しい何かが生まれる」と手応えを話す。
べっ甲は南洋のウミガメ「タイマイ」の甲羅が材料。ワシントン条約で輸入が禁止されており、国内に流通する在庫を利用するほか、養殖にも挑戦する。熱や蒸気を加えると柔らかくなる甲羅の特性を生かし、宝飾品や時計などに加工する。
江戸時代、鎖国下でも貿易が許された長崎では材料が入手しやすく、べっ甲細工が発展した。模様を選んでつなぎ合わせる技術「継ぎ分け」を習得できるのは一部の職人だけという。
高齢化する職人の技術継承が課題だ。新型コロナウイルス禍でイベントが減り販売は伸び悩むが、「後継の育成役として重要な職人の雇用は守る」(同)。今後は異業種との協業を加速し、若い世代向けの商品づくりに力を入れたい考えだ。
テレビショッピングで「べっ甲という商材が売れるとは思いもしなかった」と太田博之代表。べっ甲製造は歴史がある分、老舗が多く、新しい取り組みが生まれにくい一面もあった。紹介を通じ出演したテレビ通販は、べっ甲の幅広い認知につながるきっかけとなったという。べっ甲製造は根気の要る職人仕事のため、「(身体に)ハンディキャップのある人も頑張れる仕事」(同)。太田社長は伝統技術継承のためにも、多くの人にこの魅力を伝えたいと話す。
企業名 | 株式会社リベラ商会 | |
---|---|---|
代表者 | 代表取締役 太田博之 | |
住所 | 兵庫県尼崎市西難波町1-29-10 | |
電話 | 06-6412-4797 | |
URL | https://bekkodo.com/ | |
業種 | べっ甲製造卸売業、琥珀・珊瑚の製造卸売業 | |
主な製品 | べっ甲・琥珀・サンゴ材料及び製品、他一般装飾品 |