勝機をつかめ!
-地域のグッド・カンパニー-

世界の日常は一変した-。日々の生活や企業の活動は「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる新たな社会規範の制約を受け、大きな戸惑いを感じている。新たな世界の中で再び輝くため、企業に求められるのは、自らの持続可能な未来像を描く意志と、そこへ向かって歩み続ける実行力だ。

丸井商会

2021/10/20付け 日刊工業新聞 西日本面

<油槽所を配送基地に>

大阪市港区の玉船油槽所

丸井商会(大阪市西区、丸井茂嗣社長)は1924年に創業し、主に産業用の燃料販売を手がける。創業当初の燃料は石炭だったが、顧客や産業の変化によって重油やガソリンなどへ転換してきた。

転機は2000年代。需要家への小売りを重視して、油槽所の展開を始めたことだ。油槽所はタンクに燃料を備蓄して、周辺の顧客に配送する基地のような存在。丸井商会はここから、工事現場の重機向け、倉庫・工場のフォークリフト向け、給油所のない地域への販売などへ顧客の裾野を広げた。

現在は他の販売会社と協力し、全国に燃料を販売できるネットワークを構築したほか、ガソリンスタンドや水素ステーションも運営する。燃料の他にも、排ガス浄化用の尿素水や潤滑油、アスファルト再生添加剤などの販売も手がける。

丸井邦裕専務は「『油を売る』とは仕事を怠けて無駄話をすることを指すが、当社の場合では燃料販売をきっかけに顧客の話を聞き、さまざまなニーズを探っていく意味になる」と強調する。社会の環境意識が高まり、経営環境も変化が想定されるが、「燃料販売を軸としながら、顧客が求めるさまざまな商材を探っていく」との心構えだ。


企業の横顔

専務取締役 丸井邦裕 氏


丸井商会本社から北西に3分ほど、鋼材問屋などが並ぶ通りを進むと、安治川という河川に出る。丸井商会はこの川の近くで運営する給油所の敷地内にあったお地蔵さまを、地域の住民と協力して祀り、地蔵盆という祭を毎年開く。お地蔵さまを洗い清め、お経を上げ、子どもにお菓子を配る小さな祭だ。2020年には、この「安治川波除地蔵尊」にまつわる言い伝えを絵本にまとめた。こどもや地域を守る不思議な御利益があるという。

企業名株式会社丸井商会
代表者代表取締役 丸井茂嗣
住所大阪市西区九条南4-22-10
電話06-6583-1731
URLhttp://www.marui-shoukai.com/
業種燃料油などの販売、油槽所、給油所の運営など
主な製品燃料油(ガソリン、灯油、経由、重油、再生重油)、潤滑油、排ガス浄化用尿素水など