勝機をつかめ!
-地域のグッド・カンパニー-

世界の日常は一変した-。日々の生活や企業の活動は「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる新たな社会規範の制約を受け、大きな戸惑いを感じている。新たな世界の中で再び輝くため、企業に求められるのは、自らの持続可能な未来像を描く意志と、そこへ向かって歩み続ける実行力だ。

明里スプリング製作所

2021/9/3付け 日刊工業新聞 西日本面

<短納期でバネ部品>

明里スプリング製作所はNCスプリングマシンなどの機材を約30台そろえ、急な依頼にも柔軟に対応(同社提供)

 「製品に一つおかしなものがあるだけで、取引そのものがなくなる恐れがある」―。大手自動車メーカー向けにバネ部品を製造する明里スプリング製作所(大阪府摂津市、明里貴弘社長)製造部の明里幸祐さんは、全数検査など自動車業界の厳しい品質要求が同社の高い技術力につながっていると分析する。「短納期は当たり前」(明里さん)で、顧客から相談を受けたその日に試作へこぎつけることもあるという。

 同社は1980年設立のバネ製造企業。従業員は10人と少ないが、製品数の多い自動車業界に対応するため、数値制御(NC)スプリングマシンなどの設備を充実させ、急な依頼にも柔軟に対応する。同社の規模でここまで設備の充実したバネ製造企業は珍しいという。

 売り上げの約5割が自動車向け部品。コロナ禍でも自動車業界は回復基調にあるが、明里さんは「将来の先行きは不透明」として危機感を強める。

 明里さんは社長である父からの事業承継を見据え、勤めていた種苗会社から転職。前職の経験を踏まえ、農業機械など新しい分野の顧客開拓を目指す。高い技術力を生かした自社製品の開発にも挑戦する意向だ。


企業の横顔

製造部 明里幸祐 氏


製造部の明里幸祐さんは事業承継を見据えて経営者育成塾に通い、「経営に対する考え方や哲学を学んだ」という。目先の売り上げでなく、「無駄を減らして粗利を増やす」ことをスローガンに掲げた。従業員全員が「今できることは何かを考え」、経営に参加することを目指す。材料の無駄や不良を減らし、光熱費を下げるための工夫を行うなど、地道な活動から利益を生み出し、従業員への還元につなげたい考えだ。

企業名有限会社明里スプリング製作所
代表者代表取締役社長 明里貴弘
住所大阪府摂津市鳥飼本町3-10-36
電話0726-54-1623
URLhttp://akarisp.co.jp/
業種各種スプリング(ばね)製造
主な製品圧縮バネ・引張りバネ・ねじりコイルばね