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世界の日常は一変した-。日々の生活や企業の活動は「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる新たな社会規範の制約を受け、大きな戸惑いを感じている。新たな世界の中で再び輝くため、企業に求められるのは、自らの持続可能な未来像を描く意志と、そこへ向かって歩み続ける実行力だ。

日本シール工業

2022/6/7付け 日刊工業新聞 西日本面

<熱収縮ラベルで存在感>

日本シール工業の京都工場(京都府宇治市)。環境配慮型量産加工工場と位置付ける

 日本シール工業(大阪市都島区、田中保吉社長)は、シュリンクラベルの印刷、製袋を長年にわたって手がけている。もともとグンゼの協力工場として参入。30年以上前にグンゼとの関係を解消して以降は、独立系として幅広い顧客のニーズに応えてきた。

 熱によって収縮するフィルムを使ったシュリンクラベルは、1990年代にペットボトル飲料が大きく普及したことで市場が急拡大した。現在も飲料容器向けが大きなウエートを占めるが、最近では大手飲料メーカーがコストダウンでラベルの小型化や軟包装への転換を進めるなど、市場は停滞気味だ。

 ただ日本シール工業が得意とするのは「ニッチな商品」(田中社長)で、錠剤ボトルのキャップシールや回転ずし屋で使う醤油(しょうゆ)ボトル、油性ペンのラベルなど多種多様。大手飲料など薄利多売が避けられない大口ビジネスからは距離を置く。

 かつて同社の主力は乾電池包装だったが、生産の海外移管でほとんどなくなってしまった。一方で新たな用途も生まれ、厳しい経営環境の中でも売上高は維持。「ユニバーサルデザインに対応できるのはシュリンクラベル。仕事がなくなることはない」と、田中社長は前を見続けている。


企業の横顔

代表取締役 田中保吉 氏


日本シール工業は本社の大阪工場のほか、出石工場(兵庫県豊岡市)と京都工場(京都府宇治市)を構える。特に出石工場はグラビア印刷も手がける基幹工場だ。商品名などが印刷されるシュリンクラベルで、グラビア印刷は技術が要求される領域。同社も出石工場では若手の技術者が活躍しており、技能継承が継続している。今後の事業展開を見据え、出石工場の隣接に土地を購入済みで、田中社長は設備更新のタイミングを見計らっているところだ。

企業名日本シール工業株式会社
代表者代表取締役 田中保吉
住所大阪市都島区高倉町3-12-6
電話06-6925-5111
URLhttp://www.nippon-seal.co.jp/
業種製造業
主な製品熱収縮ラベルの製造・販売