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世界の日常は一変した-。日々の生活や企業の活動は「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる新たな社会規範の制約を受け、大きな戸惑いを感じている。新たな世界の中で再び輝くため、企業に求められるのは、自らの持続可能な未来像を描く意志と、そこへ向かって歩み続ける実行力だ。

港製器工業

2022/10/21付け 日刊工業新聞 西日本面

<海外3社と世界市場で競合>

実績を上げている鉄骨建方治具「ATOMU-701」

 港製器工業(大阪府高槻市、岡室昇志社長)が手がけるのは、コンテナを船にワイヤなどで固定するラッシング資材。「世界に残るのは4社。海外3社と競合できるのは当社だけ」と岡室社長は話す。金具を固定するロックと、外すアンロックの両方でレバー操作が不要なフルオート型のツイストロック「FA―8」は、100隻以上の船舶で100万個以上の納入実績があるベストセラーだ。

 あらゆるラッシングパターンに対応する商品をそろえるのが同社の強みだが、競争力の源泉はそれだけではない。むしろ、どう安全に積み付けられるかの設計力が最大のノウハウ。船級によって設計方法も異なり、新造船の見積もり段階から関わることになる。

 「技術力が伴う事業が今も残っている。ご用聞きだけでは、必ずコスト競争に陥ってしまう」と岡室社長は説く。その考えは他の事業でも共通だ。仮設建材事業では鉄骨建方治具「ATOMU―701」が実績を上げているが、やはり建設現場での最適な工程の提案にまで入り込む。

 最近では、間伐材を面材、アルミニウムを柱に利用したフェンス「スーパーフェンス」を幼稚園に展開。防音対策に加え、木に触れる教育効果も期待される。


企業の横顔

代表取締役社長 岡室昇志 氏


家電メーカー向けの部品加工だけで年10億円を売り上げていた時代もあったが、現在の事業内容は大きく様変わりした。ラッシング資材にしても建材にしても、設計からサポートまで“手離れの悪い事業”が中核を占める。
「良いモノを安く早く作るという加工屋さんと競争するつもりはない」と、岡室社長は強調する。設計力や提案力など自社で蓄積したノウハウをどれだけ競争力の源泉にできるかに注力。「我々は製造コーディネーター」。自らの強みをこう自負する。

企業名港製器工業株式会社
代表者代表取締役社長 岡室昇志
住所大阪府高槻市唐崎中3-20-7
電話072-677-6641
URLhttps://www.minatoseiki.co.jp/
業種金属製品
主な製品船舶用ラッシング資材、物流機器、住宅設備、仮設建材など